2024 年 30 巻 p. 281-286
礫列は勾配1/100~1/20程度の扇状地上流にあたる急流河川に見られる河床形態である.この勾配帯では近年急速な河道掘削による人為改変が進行している.また,流域の特徴に対応して河道の様相が異なっており,潜在的な河川環境に寄り添う河道掘削工法の提案のためには,礫列の形成に対する人為改変の影響の程度と河川ごとに呈される特徴を考慮する必要がある.本研究では,急流扇状地河川における礫列への掘削の影響と流域ごとの特徴(個別性)を明らかにすることを目的とした.礫列とその形成を促進する可能性がある直径1m以上の巨石を異なる河川で観測し,環境要因を表すパラメータとの関係性を統計的に分析した.その結果,巨石の密度と礫列密度に正の相関が見られ河川ごとに傾向が異なること,河道掘削による巨石密度の低下が顕著であること,礫列に及ぼす要因は人為改変がない場合流域スケールの要因に強く影響を受ける一方,人為改変がある場合はより小さなスケールの要因が卓越することが分かった.これらより,巨石の移動・除去を抑制することが急流河川の潜在的環境形成に重要であることが示唆された.