2024 年 30 巻 p. 357-362
近年の記録的豪雨に伴う人的被害軽減のためには,洪水氾濫時の被害想定手法の確立が重要である.しかしながら,従来の欧米の手法が日本の状況に適用されるには限界があり,日本の降雨,地形,洪水特性を考慮した被害関数の構築が必要である.本研究では,H30年7月豪雨,R1年東日本台風,R2年7月豪雨の3つの災害に焦点を当て,著者らが収集している近年の洪水氾濫災害における人的被害データと洪水氾濫状況の関係性を多角的に検討し,洪水人的被害関数を構築した.その結果,特に65歳以上の年齢層においては浸水深や水位上昇速度を指標とした統計的に有意な被害関数が得られた.さらに,国内外の洪水イベントとの比較から,氾濫形態によって人的被害に影響する指標が異なることや,海外のデータや被害関数をそのまま日本国内の人的被害推定に用いることには大きな問題があることが明らかとなった.