2024 年 30 巻 p. 447-452
2018年7月豪雨では,長期・広範囲に渡り降雨が続き,家屋倒壊等の土砂災害が各地で発生した.現在の土砂災害警戒情報は,個々の斜面における地形・土壌の情報が考慮されていないため,家屋が点在するような地域における細やかな危険度評価としては不十分である.この問題を解決するためには山地斜面における地下水の挙動を明らかにし,斜面崩壊過程を危険度評価に反映する必要がある.本研究では山地斜面での岩盤内・表層地下水位の降雨に対する挙動特性を明らかにすることを目的に,岩盤内・表層地下水位の観測を実施した.2018年7月豪雨では斜面崩壊の源頭部において地下水位が急激に上昇し,その影響を受けて土壌が下層から湿潤し飽和状態となること,及び地下水位上昇時は温度の低い深層からの水により急激な温度低下を示すことを明らかにした.これにより地中の温度変化から地下水挙動を検討できることを示した.この浸透・流動メカニズムによって起こる斜面崩壊の危険箇所をリアルタイムで予測するため,表層崩壊危険度予測モデルに地下水の浸透・流動機能を組み入れる手法を提案した.