2025 年 31 巻 p. 229-234
河川堤防の強化方法の1つに矢板での川表遮水工法による対策が挙げられるが,施工後も噴砂被害が報告されるなど,現状その効果については不明な点が多い.そこで,本研究では適切に矢板の効果が発揮される条件を明らかにするために,矢板の打設位置と長さの二つの条件を変化させた模型実験と浸透流解析を実施した.その結果,模型実験および実験の再現解析より,裏法尻で発生した噴砂により堤体下地盤に圧力が伝播し,それに伴いパイピングが進展することが分かった.そのため,堤内側に十分な長さの矢板を打設することで,噴砂による圧力伝播を抑制し,堤体下の土粒子流出やパイピング進展を抑制することが期待できる.また実スケールの浸透流解析より,矢板の条件に依らず,堤内地では圧力が伝播し噴砂が発生することが示唆されたが,矢板によりパイピング破壊に至る時間を遅延する効果が明らかになった.