抄録
症例は54歳,男性.追突事故による頸椎捻挫を受傷.2カ月後,突然の右下肢脱力を主訴に入院した.軽度右片麻痺あり,CT angiographyにて左内頸動脈(ICA)錐体部の高度狭窄を認めた.入院後,麻痺が進行し,新たに失語も出現した.MRIでは左ICA領域に散在性脳梗塞を認め,SPECTにて左ICA領域の広範な脳血流低下を確認した.第4病日実施の脳血管撮影で狭窄の進行および血栓形成を認め,外傷性ICA解離と診断した.同血管病変にもとづく血行力学性および塞栓性機序による脳梗塞と考え, 補液量の増加及びアルガトロバン持続投与と抗血小板薬内服による抗血栓療法の強化を図った.その後は症状の増悪なく,独歩退院となった.受傷当初,わずかな頸椎捻挫様症状を呈する交通外傷患者であっても,数カ月を経て頭蓋外頸動脈解離に伴う脳梗塞を発症することがあり,慎重な経過観察が望まれる.