2026 年 32 巻 p. 115-120
気候変動と生物多様性の損失の双方の課題解決にはNature-based Solutions (NbS)を実現する河川管理手法の確立が必要である.そのためには対象地域の潜在的な環境構造と人為的な影響がない状態の生態系に立脚する環境目標を設定することが重要である.本研究では河道掘削が進行する扇状地河川を対象に,この領域に特徴的な河床形態である礫列に着目した環境目標を検討した.河川環境の階層性を考慮したモデリングを用いて,流域の特徴量に基づいた河川ごとに保全されるべき礫列密度を定量的に明らかにした.さらに,魚類調査結果に基づいて礫列保全の生態学的効果を評価した結果,環境目標となる礫列の個数密度を再生した場合には,指標種であるカジカの個体数が2倍程度に増加することが示された.