2026 年 32 巻 p. 175-180
京都府大手川では,親水施設としてワンドが整備されたものの経年的な土砂堆積により覆没し機能不全となっていた.本研究では,人工ワンドを持続的に保全していく方策を,河床変動解析を連動させた小さな自然再生の取り組みとして検討,実施した.佐賀県嘉瀬川にある水システム・石井樋に含まれる「象の鼻・天狗の鼻」構造をワンド導水路に取り入れ,下流側から河川水をワンドに流入させ,併せて堰上げと土砂堆積を調整する水制工を設置した.加えて,周辺の植生回復を促進することで,ワンド・導水路付近の土砂堆積を回避でき年間を通じて保全された.草本植生による抵抗を考慮した河床変動解析からも,平均年最大流量程度の出水ではワンドが埋没しないことが確認された.河床変動解析がワンド保全に向けた試行錯誤の助けとなった.解析技術による「効果の可視化」と,生態系の回復などの「効果の発現」により,担い手の「小さな自然再生」に対するモチベーションが維持された.