2026 年 32 巻 p. 229-234
本研究は,洪水時に発生する河口砂州のフラッシュ現象および河口テラス形成過程を対象に,初期地形の不確実性を考慮した解析手法の構築を目的とする.河口域における地形変化は,洪水流と波浪それぞれによる地形変化が相互に作用する複雑な現象であり,河道の通水能力や河口閉塞,沿岸漂砂に大きな影響を及ぼす.洪水直前の河口域の地形は洪水時の流れと土砂輸送解析に強く影響するが,観測頻度や計測条件の制約から不明確である場合が多く,課題となっている.本研究では,洪水前の衛星画像と洪水後の深浅測量結果を組み合わせることで,洪水直前の初期河口地形の推定法を検討した.衛星画像から砂州の平面的輪郭を抽出し,これを洪水後地形に反映させることで初期砂州形状を再構成した.そして,海域地形については洪水後測量を基にしつつ,河口テラス部分の地形を周辺から均すこととした.
推定した初期地形を用いて準三次元洪水流および浮遊砂・掃流砂を考慮した河床変動解析を実施した結果,河口テラスの形成位置や規模が観測結果と概ね一致し,河口域の地形変化を再現できることを示した.