2026 年 32 巻 p. 253-258
近年,土砂の連続性遮断に起因する問題に対して,ダム下流へ土砂を供給する「流砂環境再生」の重要性が高まっている.宮崎県の耳川水系では,中下流域に位置する3基のダムで,出水中に貯水池に流入する土砂をダム下流へ通過させる「ダム通砂」を実施している.ダム通砂の特性や効果を明らかにすることで,本運用が流砂環境再生のモデルケースとして寄与することが期待される.本稿では,環境モニタリング調査及び河床変動計算結果から,ダム通砂に伴う土砂動態の変化,特に下流流程における河床材料や河床形状の動的な変化を分析した.その結果,ダム通砂による土砂供給により河床材料が多様化し,「土砂波(Sediment wave)」として下流へ伝播していることが示された.