スポーツパフォーマンス研究
Online ISSN : 2187-1787
110mハードル走のアプローチ区間におけるパフォーマンス変動要因の単一事例による検証 :
ステップ頻度に着目して
内藤 景 堤下 凌山元 康平
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2022 年 14 巻 p. 13-26

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抄録

本研究の目的は,110mH走を専門とする学生競技者1名を対象に,アプローチ区間の1歩毎のステップ頻度,接地時間,滞空時間に着目して,アプローチ区間タイムの変動に関係する要因を単一事例で検証することであった.110mH走の規格でハードルを3台設置したハードル走を複数回実施し,アプローチ区間における1歩毎のステップ頻度,接地時間,滞空時間の変化を調べ,アプローチ区間に要したタイムと1歩毎のステップ頻度,接地時間,滞空時間との相関関係を分析した.その結果,アプローチ区間タイムと1歩毎のステップ頻度の相関関係は,5歩目のステップ頻度のみ,有意な負の相関関係(r=-0.638,p=0.008)が示された.また,5歩目のステップ頻度と滞空時間との間に有意な負の相関関係(r=-0.718, p=0.002)が示された.さらに,アプローチ区間タイムと踏切側距離との間に有意な負の相関関係(r=-0.607, p=0.013)が示された.以上の結果から,アプローチが8歩で5歩目のステップ頻度が重要であることから,踏切3歩前において,滞空時間を短縮しステップ頻度を高めることが,1台目の踏切位置を遠くすることに関係し,アプローチ区間タイムの短縮に繋がる可能性が示唆された.

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© 2022 日本スポーツパフォーマンス学会
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