2022 年 14 巻 p. 234-242
卓球競技の技術・戦術要素である飛行特性,回転特性に関する研究は進められているが,配球特性に関する研究はあまり進められていない.本研究では,右利きシェークハンド攻撃型の男子大学生選手1 名を対象に14 試合分の分析を行い,得点に影響のある配球を明らかにし,選手へのアドバイスや練習メニューの立案に活用可能か検討することを目的とした.方法は,6 つの超音波センサとデジタルビデオカメラを用いて試合中のボール落下位置を収集し,ABC 分析とコレスポンデンス分析を行った.結果,ABC 分析では,対象とした選手における得点に影響のある配球と課題である配球が明らかとなり,戦術変更や練習メニュー立案に活用可能であることが示唆された.コレスポンデンス分析では,配球データから得られた2 次元マップを作成し,対戦相手に対して関係性が強い配球が視覚的に把握できることが明らかとなった.今後の課題は,回転方向や打法等の要素を加えて分析を行い,詳細な試合の分析を行うことが可能か検証していくことが望まれる.