抄録
本研究は,大学男子柔道選手における自己管理による3 週間の減量が,全身および部位別の身体組成に与える影響を明らかにすることを目的とした.対象者は,20 名の大学男子柔道選手とし,通常の稽古に加えて出場する階級の規定体重まで体重を減少させる群(減量群,10 名)と通常の稽古のみを行う群(対照群,10 名)に分けた.各選手が公式戦に備えて,それぞれの階級に合わせて減量を行った(20 日間).その前後に,二重X 線エネルギー吸収法(DXA)を用いて,全身および部位別の脂肪量および除脂肪組織量を測定した.対照群ではいずれの変数も,対象期間で有意に変化しなかった.減量群の体重は,3.0 ± 1.4 kg(4%)減少した.全身除脂肪組織量は減少したが,全身脂肪量は減少傾向であった.体幹部では脂肪量および除脂肪組織量ともに減少し,下肢部では減少傾向にあった.上肢部では減量前後で有意な変化は認められなかった.以上のことから,大学柔道選手における自己管理による減量は,全身除脂肪組織量を減少させ,特に体幹部においてその減少が大きいことが明らかとなった