2023 年 15 巻 p. 186-192
本研究の目的は,ソフトテニスラケットのストリングテンションの違いが打球速度および打球コントロールに及ぼす影響を明らかにすることであった.実験は高校生女子ソフトテニス選手13 名を対象とし,仮想のテニスコートとターゲットエリアを設定して,実打によるパフォーマンステストを行った.テストは,3 条件のストリングテンションの同一ラケットを用いて,ベースライン付近からターゲットエリアにフォアハンドで打球するものとした.その結果,13 名中12 名は低いストリングテンションにおいて最も高い打球速度を記録した.一部の選手には10%以上の打球速度の向上も見られた.また,ストリングテンションが高いと打球が飛びにくくなり,ネットや想定より打球が浅くなる場面が増加する可能性があり,ストリングテンションが低くなると打球がよく飛び,想定より打球が深くなる場面が増加する可能性があることが示唆された.これらの結果から,ストリングテンションの違いは打球速度および打球コントロールに影響を及ぼす可能性が示唆された.