スポーツパフォーマンス研究
Online ISSN : 2187-1787
日本代表捕手の二塁送球時における動作時間
鈴木 智晴 前田 明
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 16 巻 p. 80-91

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抄録

本研究は,日本代表に選出され,過去にシーズン最高盗塁阻止率を記録したことのあるプロ野球捕手の二塁送球動作の特徴を明らかにしようとした.その選手の特徴として遠投の飛距離(肩の強さ)はプロとして突出していないものの,動作の速さが高い盗塁阻止率につながっていると評されている.この捕手と他プロ野球捕手3 名の二塁送球動作の比較・検討を行った.二塁送球の測定には,光学式3 次元動作解析システムとフォースプレートを用いた.動作局面を3 つに細分化し,各局面に要した時間,送球速度およびキネマティクスを分析した.その結果,日本代表に選出された捕手は捕球からリリースまでの動作時間に要した時間が最も短かった.特に,捕球してから軸脚が接地するまでに要した時間が他3 名の捕手よりも短かった.さらに,捕球時の身体重心速度において日本代表捕手が最も高い値を示した.以上のことから,日本代表に選出された捕手は,捕球する前から重心移動速度を高めることにより,捕球してから軸脚が接地するまでの時間を短縮し,動作時間を短縮することで素早い二塁送球動作を行っていることが示唆された.

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© 2024 日本スポーツパフォーマンス学会
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