スポーツパフォーマンス研究
Online ISSN : 2187-1787
発声がソフトボール投げの遠投距離に及ぼす影響
小嶺 里佳杉山 敬
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2024 年 16 巻 p. 106-111

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抄録

本研究では,新体力テストの一つであるソフトボール投げにおいて,任意の発声および異なる母音での発声が遠投距離に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした.被検者は野球またはソフトボールを競技として経験したことのある男子大学生10 名とした.発声することが遠投距離に及ぼす効果を検証するため,発声無条件および任意の発声有条件,そして異なる母音(あ・い・う・え・お)を発する条件にて,遠投を実施した.測定は各条件で各2 球ランダムに実施した.評価はボールの遠投距離とした.また,遠投後には,被検者の内省を取得した.実施方法は,新体力に準じて行い,ソフトボールの3 号球を使用した.その結果,任意の発声は発声無および母音「う」「お」より遠投距離が向上したが,発声無と母音間に有意な差は認められなかった.全被検者が発声の効果を実感する一方,母音に気がとられる者もいた.以上のことから,ソフトボールを投げる際,任意の発声を行うことにより,遠投距離は向上することが明らかとなった.一方,指定した母音を発する場合,発声自体に意識が集中することで,発声による効果を得られない可能性が示唆された.

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© 2024 日本スポーツパフォーマンス学会
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