抄録
本研究は,W リーグにおける1 シーズン中での各チームが持つ「固有な戦術スタイル」と「対戦相手の特徴に応じて戦術を変える可変性」について,スタッツを用いて統計学的に検討した.対象は,2022-23 シーズンにW リーグに在籍した14 チームである.用いたゲームのスタッツは,4 Factor を参照した全14 項目とした.チームの特徴を視覚的に把握するために各チームの平均値行列にコレスポンデンス分析を行い,各チームの布置の特徴を「独自性」「顕著さ」から操作的に定義し,各チームの試合ごとの変化を2 次元布置の位置関係や軸の名称から検討した.その結果,オフェンスの特徴は,「3P」「2P」「消極的なオフェンス」「積極的なオフェンス」であり,ディフェンスの特徴は,「3P」「2P」「ディフェンスの成功」「フリースローの獲得」であった.事前に対戦相手を分析して,十分な準備のもとで戦うリーグ戦においては,対戦相手に応じた戦い方の優位性が示された