抄録
本研究では,世界トップレベルと国内大学レベルの比較を通して,タックル局面におけるパフォーマンスとプレーを成功させる要因との関連性を検討し,非トップレベルにも有用な知見を得ることを目的とした.分析の結果,以下のような知見が得られた.1)上体へのタックルの有効性は高い.2)非トップレベルにとっては,上体へのタックル比率を向上させることも重要であるが,上体および下体へのタックル両方の精度向上が課題である.3)タックルアシストの有効性は高い.4)国内大学レベルにおけるタックルアシスト発生比率は世界トップレベルよりも高い.5)非トップレベルにとっては,タックルアシストの精度向上が課題である.6)タックルアシストを可能な限り発生させながら,下体へのタックルを志向していくことが重要である.7)前に出る防御の有効性は高い.8)非トップレベルにとっては,防御ラインを整備するための時間的余裕を作り出すことが課題である.これにより,防御側の視点に立脚したゲーム構造としての「前進」,「支援」,「圧力」に含まれる各要素の改善が,「地域阻止」に貢献することが示された.