抄録
大学生アスリートにとって公式戦への出場は非常に重要な要因であるが,メンタルヘルスとの関連を検討した研究は少ない.本研究の目的は,大学ラグビー選手における公式戦への出場経験と援助要請に対する抵抗感がメンタルヘルスとどのような関連があるのかを検討することであった.関東圏の4年制大学において体育会運動部のラグビー部に所属している男子選手を対象に質問紙調査を行い184 名(平均年齢20.32 ± 1.36 歳)が分析対象者となった.調査対象者のうち関東大学対抗戦に出場経験ありが45 名,関東大学ジュニア選手権に出場経験ありが40 名,公式戦への出場経験なしが99 名であった.分析の結果,①公式戦に出場経験のない人が,ある人に比べてK6 およびBDSA 得点は有意に高いこと,②対抗戦出場経験ありの選手を除き,援助要請への抵抗感の高さとK6 およびBDSA の間に中程度の正の相関がみられた.公式戦への出場経験がメンタルヘルスに及ぼす影響が示唆されたこと,特に各大学のトップチームに所属していない選手が専門家に助けを求めること,助けを求めやすい環境整備や情報提供が必要であることが示唆された.