老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
原著論文
大都市高齢者の社会的孤立と一人暮らしに至る経緯との関連
斉藤 雅茂冷水 豊武居 幸子山口 麻衣
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2010 年 31 巻 4 号 p. 470-480

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抄録

 本研究では,高齢者の一人暮らしに至る経緯と社会的孤立との関連,および孤立のなかでも長期孤立と短期孤立との関連を分析した.調査は,東京都板橋区の選挙人名簿から一人暮らしと思われる65歳以上の高齢者3,500人を対象にした.訪問面接法を用いたところ,面接時点で同居者がいた人を除き,1,391人の有効回答が得られた.分析には,現在と50代時の他者との交流頻度を用いて,孤立のなかでも長期孤立と短期孤立を分類した.また,配偶者や子ども等との別居時期についてクラスター分析を行い,高齢者の一人暮らしに至る主要な経緯を5つに類型化した(核家族移行型,義親同居型,子どもなし型,配偶者・子早期別居型,未婚型).分析の結果,①性別,年齢,就学歴,経済状態,身体的障害の有無を統制したうえでも,「核家族移行型」と比較して,それ以外の経緯はすべて高齢者の社会的孤立に有意な影響を及ぼすこと,②いずれの経緯も長期孤立に対してより高いオッズ比を示すこと,とくに,③「未婚型」と「子どもなし型」の経緯は,長期孤立と短期孤立のいずれにも高いオッズ比を示すことが確認された.

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© 2010 日本老年社会科学会
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