老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
原著論文
高齢期における抑うつ症状の変化と身体的健康との関連
―― 2つの縦断研究の統一的分析 ――
中川 威
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2019 年 40 巻 4 号 p. 351-362

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抄録

 本研究では,高齢期における抑うつ症状の変化と,身体的健康との関連を検討した.1987年に開始した9年間4時点の研究1と,2007年に開始した4年間3時点の研究2のデータを用い,統一的分析を行った.研究間で概念的に等価な変数を選定し,類似の統計モデルを推定した.抑うつ症状がどのように変化し,身体的健康(生活機能障害と疾患数)の個人間差と個人内変動と関連するか検討するため,データ別にマルチレベルモデルを推定した.年齢,性別,教育歴,配偶者有無を共変量として用いた.2つの縦断研究の結果,平均的には抑うつ症状は継時的に増加していた.生活機能障害と疾患数が多い者は,抑うつ症状が多いという個人間関連が認められた.また,おおむね70歳以降で,生活機能障害が通常よりも多かった時点で,抑うつ症状が多くなるという個人内関連が認められた.これらの結果,高齢期には抑うつ症状は増加し,同一個人内で生活機能障害と共変動することが示唆された.

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© 2019 日本老年社会科学会
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