老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
原著論文
認知症高齢者グループホームにおける職員の静的・動的見守りからみた建築空間に関する研究
谷本 裕香子佐藤 将之水村 容子
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 40 巻 4 号 p. 363-374

詳細
抄録

 【目的】本研究では,認知症高齢者グループホーム入居者の重度化の傾向やそれに対応する職員の仕事量の増加に伴って,職員の見守りを考慮した空間評価に着目した.見守りのあり方の現状を明らかにするために,場所を移動しながらの見守りについては「動的見守り」,移動しない見守りを「静的見守り」と定義する.静的見守り・動的見守りからみた建築空間を実現するための条件を提示にすることを目的とする.

 【方法】職員の見守りに影響を及ぼす共用空間の構成が異なる2ホームを選定した.調査員1人が職員1人を行動観察し,1分ごとの位置と作業内容を記録した.また,10分ごとの入居者全員の居場所を記録した.

 【結果・結論】静的見守りに配慮した建築空間の実現のためには,台所,食堂,職員拠点の空間の可視率を上げる必要がある.動的見守りのためには,台所,食堂,洗面所,職員拠点の空間およびそれらの経路の可視率を連続的に上げる必要がある.

著者関連情報
© 2019 日本老年社会科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top