抄録
本研究の目的は,不登校児童生徒の学習機会とネットいじめ対策の観点から,メタバース学校の可能性とリスクについて大学生がどのように認識しているかを探索的に明らかにすることである.大学生を対象に,不登校の現状とメタバース活用の事例を踏まえた議論を行い,グラフ作成ツールPersonary による議論マップ用いて議論し,レポート課題を課した.データは質的内容分析に加え,KHCoder 3 による Jaccard 係数に基づく共起ネットワーク分析を用いて検討した.その結果,学生はメタバース学校を,不登校児童生徒の学習機会の拡大と心理的安全性の向上に資する可能性があると評価する一方で,端末・通信環境や課金要素に起因する格差,新たなネットいじめの増加といったリスクを強く意識していることが示された.また,公立・無償のメタバース学校を実現するためには,制度的な位置づけ,教員・支援者の配置,記録と監視のルール設計が不可欠であることが示唆された.