宗教研究
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関係論としての「国家神道」論
田中 悟
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2009 年 83 巻 1 号 p. 139-160

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抄録

子安宣邦による「国家神道」論が提起しようとした問題は、その後の議論において正当に受け止められたと言えるだろうか。本論文は、「国家」や「国民国家」といったタームを手がかりとして、「国家神道」をめぐる従来的な議論に若干の新たな認識視座を導入しようという試みである。宗教学的な「国家神道」研究はこれまで、「神道」研究(の一環)とみなされ、「国家」研究の側面が疎かにされてきた。しかし「国家神道」は、政治学的な「国家」の枠組みにおいても把握が目指されねばならない研究対象である。「神道とは何か」と同時に、「国家とは何か」が問われねばならない。「国家神道」は、両者の問いの相関として議論されねばならないのである。そこで筆者が提示しようとする「国家神道」の新たな認識視座とはすなわち、「国家とは何か」という問いをそれ自体としてまず直視し、「国家」と「神道」との相関を問う、関係論としての「国家神道」論である。

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© 2009 日本宗教学会
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