宗教研究
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論文〔特集:明治維新と宗教〕
地域神社の近代を再考する
 中央と地方・「神社」と「非」神社の狭間に何を見るか
櫻井 治男
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2018 年 92 巻 2 号 p. 81-105

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抄録

明治維新を契機とする変革を経て今日に至る神社・神道に関し、地域神社に焦点をあて、それが経験してきた諸場面を取り上げ、近代の持つ意味を考える上での検討課題を示す。今日の神社への関心や理解のあり方は、神社が近代以降国家制度の下にあり、第二次大戦終了の転機を経て「神社」としての形を新たに整え今に存することがさほど問われず、先験的にその本質や性格を大きな枠組みで論じられる傾向にある。

本稿では、地域神社が「神社」として姿を現す一方、「非」神社としてその姿を消しながらも地域社会に内在し続けてきた場面、明治末期の政策影響を受けた神社合祀の場面、さらに神社が近代の景観論の問題に向き合った場面につき具体例を取り上げ考察する。神社制度整備と実状の狭間におかれ、中央的な動向にも影響を受ける地域神社の主体性の問題を分析する意義・必要性と、そこから照射される神社・神道の近代を考える課題があることを述べた。

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