宗教研究
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論文〔特集:戦間期の宗教と宗教研究〕
一九二〇年代のラテンアメリカで語られる宗教
カトリシズムかプロテスタンティズムか
大久保 教宏
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2023 年 97 巻 2 号 p. 27-50

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抄録

一九世紀初頭に多くのラテンアメリカ諸国が独立を果たすが、それ以降、ラテンアメリカの政治家や知識人は、政治や社会に強大な影響力を行使するカトリシズムの扱いをめぐって、長く宗教に関する議論を行ってきた。第一次世界大戦が終結した後、米国発のプロテスタント宣教活動が活発化してラテンアメリカがその主要なターゲットの一つとなったことなど、いくつかの理由が重なり、一九二〇年代になると、ラテンアメリカでの宗教に関する議論は、さまざまな方向に展開していく。米国人プロテスタント宣教師サミュエル・ガイ・インマン主導の下で一九二〇年に創刊されたスペイン語月刊誌『新しい民主主義』は、ラテンアメリカの政治家、知識人が執筆した記事を掲載し、彼らに宗教に関する議論の場を提供した。本稿では、それらの記事を取り上げ、特にカトリシズム、及びプロテスタンティズムに関わる議論に着目し、「霊」や市民宗教などに議論が展開していく経緯を明らかにする。

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