レギュラトリーサイエンス学会誌
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原著
医薬品リスク管理計画 (RMP) における追加のリスク最小化活動の効果の評価 : 患者向け情報資材の効果に関するインターネット調査―ゾフルーザを例として
成川 衛山田 知子
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2020 年 10 巻 3 号 p. 87-98

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抄録

医薬品リスク管理計画 (RMP) に基づく追加のリスク最小化活動として実際の製品 (製品名 : ゾフルーザ (成分名 : バロキサビル マルボキシル) ) に対して作成・提供されている患者 (保護者) 向け情報資材を用いて, 患者の保護者を対象としたインターネット調査により, その配布 (受領), 内容の理解, 安全対策の実施などの状況を評価した. その結果, 資材を受け取り, 内容を理解した保護者においては, 高い割合でリスク最小化の対策がとられていたことが確認できた. 一方, 調査の内容, 手続きの両面において, 実際的なさまざまな課題があることが明らかとなった. リスク最小化活動は, 患者の安全の確保・向上を究極の目的に計画・実施されるものであり, それが当初目的とした効果を実際に発揮しているかどうかを確認する必要性に疑いの余地はない. しかし, そのためのプロセス・方法論は確立されていない状況にあり, 今後, RMP制度の実施に伴って蓄積していく情報・経験も踏まえながら, その手法や考え方について検討を深めていく必要がある.

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© 2020 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
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