2022 年 12 巻 2 号 p. 195-202
医薬品市販後の包括的なリスク管理のための活動を計画し,実行するためのスキームである医薬品リスク管理計画(Risk Management Plan: RMP)の制度がわが国で開始され,10年近くが経過した.本制度の実効性を向上させていくためには,個々の活動内容の充実を図っていくことと並行して,関係者に必要以上の負荷をかけないような仕組みの検討を行い,これらのバランスを維持していくことが求められる.このためにはRMPにもとづくリスク最小化活動の効果および関係者への負荷の評価,それらを通じたリスク最小化活動の最適化,また,ルーチンに行われる安全性監視活動の充実が必要と考えられる.本稿では,日本医療研究開発機構(AMED)研究費のもとで実施した各課題に関する研究の成果および関係者での議論をふまえて取りまとめた医薬品リスク管理活動の効果と効率性の向上に向けた対応策の概要を紹介する.