2024 年 14 巻 3 号 p. 263-282
今回の研究では千葉県の薬局機能情報提供制度を用いて,地域連携薬局,専門医療機関連携薬局の実態を明らかにすること,認定を受けていない薬局(以下,非認定薬局)における地域連携薬局の育成に向けての課題を検討することを目的とした.地域連携薬局として96薬局(2021年),146薬局(2022年),専門医療機関連携薬局として4薬局(2021年),6薬局(2022年)を解析対象とし,認定を受けていない薬局として2019年の全薬局である2,497薬局,2022年の全薬局から地域連携薬局,専門医療機関連携薬局を除いた2,430薬局を解析対象とした.2022年において医療機関との情報共有を行った地域連携薬局の割合は入退院時以外が83.6%であったが,入院時はわずか27.4%,退院時は25.3%であった.また,2022年に無菌調剤の体制がある地域連携薬局の割合は56.2%であったが,無菌調剤を行った薬局の割合はわずか11.6%であった.非認定薬局において充足率が最も低かった項目は2019年,2022年とも無菌調剤の体制であり,6.4%(2019年),7.7%(2022年)であった.地域連携薬局の認定取得に関連する要因を解析するために2項ロジスティック解析を行った.「患者の服薬状況等を医療機関に提供した実績がある」(p=0.008),「無菌製剤処理に係る調剤の実施体制がある」(p<0.001)他3項目が地域連携薬局の認定と関連する要因であった(p<0.05).情報共有においては入退院の設備を有する医療機関との連携強化が必要である.また,無菌調剤についてはその体制整備と無菌調剤などの薬局がもつ機能を患者や他の医療従事者へ周知することが必要である.