2025 年 15 巻 2 号 p. 137-145
アストラゼネカは,薬局方基準の国際調和を推進する取組みの一環として,日本薬局方(JP)および米国薬局方(USP)による医薬品原薬および製剤各条のプロスペクティブな国際調和パイロットプログラムに参加した.今般,「ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物」および「ダパグリフロジンプロピレングリコール錠」を対象品目として,薬局方基準の国際調和をめざした医薬品各条の作成を進めている.この取組みにより,さまざまな負担軽減やグローバルサプライチェーンの効率化を図ることをめざし,企業にとってのベネフィットや課題を検討した.具体的には,新たな確認試験のあり方,合理化記載の適用,一般試験法の統一化,およびシステム適合性の設定等を通じて,技術的および薬事的な課題について考察した.本パイロットプログラムは,薬局方基準の国際調和拡大の可能性を見出すモデルケースとして,企業が国際調和活動に直接関与できる貴重な機会となった.アストラゼネカは,この取組みを通じて,医薬品の品質の維持と安定供給を確保しつつ,国際協力と薬局方基準の調和を図る先駆けとなることを期待する.