レギュラトリーサイエンス学会誌
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特定保険医療材料を対象にしたレセプトデータ分析の実施可能性
福田 治久
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2014 年 4 巻 3 号 p. 257-264

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抄録
背景:医療材料を対象にした費用効果評価を実施する上で,レセプトデータの活用が重要になると考えられるが,医療材料において採用されている機能区分別保険償還価格制度は,レセプトデータ分析を阻害している.
目的:特定保険医療材料を対象にしたレセプトデータ分析の実施可能性について検討することである.
方法:2002年4月から2013年2月の間にC区分及びB区分として保険適用が承認された特定保険医療材料の保険適用開始年月日及び製品名に関する書類を収集し,ある機能区分においてC区分製品が保険適用されてから同一機能区分においてB区分製品が保険適用されるまでの期間(ソロ期間)を算出した.また,ソロ期間と医療材料の種別との関連性を検証し,医療材料を対象にしたレセプトデータ分析の実施可能性の高い領域を明らかにする.
結果:合計で735件の機能区分が認められた.そのうち,C区分が新たに保険適用されていたものが139件(18.9%)であった.ソロ期間の中央値(四分位範囲)は16(5-31)ヶ月であった.139件のうち,C区分適用承認後にB区分が保険適用されていたものは67件(48.2%)であった.ソロ期間が6ヶ月以下のC区分製品は23件あり,全体の34.3%を占めていた.新製品の上市後2年で,71.6%の医療材料はレセプトデータから抽出できなくなることが明らかになった.医療材料類別とソロ期間の間に関連性は認められなかった.
結論:機能区分別償還価格制度により,レセプトデータを活用して銘柄別の特定保険医療材料の使用状況を把握することは大きく阻害されていた.
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© 2014 レギュラトリーサイエンス学会
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