レギュラトリーサイエンス学会誌
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アメリカにおけるレギュラトリーサイエンスの教育と研究の現状調査報告
塚本 桂竹中 登一
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2015 年 5 巻 1 号 p. 103-110

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抄録
医薬品開発は,よりグローバル化,より長期化しており,これに伴い開発コストは増加している.より優れた革新的な医薬品を効率よく生み出すためには,レギュラトリーサイエンスの教育と研究の推進をせねばならない.そこで,世界最大の医薬品市場を持ち,新薬創出の起点でもあるアメリカのアカデミアにおけるレギュラトリーサイエンスの教育と研究の現状を調査した.その結果,日本と同様にアメリカにおいても規制当局である米国食品医薬品局がイニシアチブを取ってレギュラトリーサイエンスを変革させていた.その上で,各大学が特色のある教育と研究を進めており,①完全オンライン化を含めた教育提供方法による専門教育の最適化,②同じ場所で産官学が学ぶことによる情報共有,③シームレスな大学間並びに産官学連携の3つの鍵となる取り組みが明らかとなった.日本では薬学におけるレギュラトリーサイエンスの教育と研究は緒に就いたところであり,アメリカのようなダイナミックな産官学連携がまだ少ない.薬物動態学,製剤学,分析化学などの複合学問領域である薬学は,レギュラトリーサイエンスの発展に重要な役割を果たすべきである.我々は,アメリカの実例を参考にしつつ,レギュラトリーサイエンス教育と研究を発展させ,規制当局及び製薬企業と一緒になって医薬品開発推進を加速すべきであると考える.
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© 2015 レギュラトリーサイエンス学会
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