背景:医療材料を対象とした費用対効果を勘案した保険償還制度が導入予定である.しかしながら,費用効果分析を実施するために,医療材料の性質に関して精緻な検証が実施されているとはいえない.
目的:製造販売業者が医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出している市販前承認申請(PMA)および市販後調査(PMS)における有効性データの質を評価し,我が国における医療材料を対象にした費用効果分析の実施可能性について検討することである.
方法:1999年4月から2012年8月の間の83件のPMAと39件のPMSにおける審査報告書における有効性データを対象にした.その上で,交絡やバイアスを最小化する上で不可欠だと考えられる方法論的な属性データを評価した.
結果:83試験中32試験(39%)において無作為化が,11試験(13%)において盲検化が実施されていた.臨床試験の実施国に関する層別解析の結果,無作為化試験は34試験8試験(24%)であり,盲検化試験は3試験(9%)であった.国内における実施施設数の平均値(最小値-最大値)は,添付資料が付随する試験においては6.6(2-15)施設,添付資料が付随しない試験においては4.4(1-10)施設であった.実施総施設数と実施日本施設数の間には大きな差異が認められた.
結論:医療材料を対象にした市販前承認は試験デザインが不十分な試験に基づくことがしばしばあり,バイアスに脆弱な側面がある.医療材料を対象にした費用効果分析を実施する際には,費用データや追加的な有効性データを市販後調査において評価することも有用であると考えられる.
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