抄録
医療用医薬品の価格は, 中央社会保険医療協議会 (中医協) における薬価算定基準に基づき算定されている. 医薬品の薬価算定基準は, 製薬企業の研究開発戦略に影響を及ぼす. 著者らは, 2006年10月27日~2015年8月26日までの中医協資料を調査した. 承認された新薬は792品目であり成分としては483件であった. 類似薬効比較方式 (Ⅰ), 原価計算方式および類似薬効比較方式 (Ⅱ) により算出された新薬はおのおの473件 (59.7%), 192件 (24.2%), および67件 (8.5%) であった. 成分の薬効分類別では, その他の代謝性医薬品, 中枢神経系用薬, 腫瘍用薬, および循環器官用薬は, おのおの82件 (17.0%), 57件 (11.8%), 58件 (12.0%), および36件 (7.5%) であった. 腫瘍用薬の半分以上は原価計算方式に基づき計算されていた. 腫瘍用薬は予測投与患者数が少なく, 算定薬価は高かった. 特に, 外資系企業は内資系企業に比して, 予想投与患者数が少なく算定薬価が高い傾向が明らかとなった. 今回の結果は, 日本での新薬の開発・申請のための基礎資料となると考える.