レギュラトリーサイエンス学会誌
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特集(バイオシミラー)
日本と海外のバイオシミラー市場占有率
赤羽 宏友
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キーワード: biosimilar, biologics, market share
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2018 年 8 巻 1 号 p. 35-43

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抄録

バイオテクノロジーの発展により, さまざまなバイオ医薬品の商業利用が可能となり, 現在では臨床でその有効性が広く報告されている. 先行バイオ医薬品の市場独占権の失効に伴い, 多くのバイオシミラー (バイオ後続品) が開発され, 近年, 欧州, 日本, 米国において上市されている品目もある. バイオシミラー市場は年々着実に拡大しており, 2016年の世界市場は約16億ドル, 日本では約184億円となっている. さらに, 今後もバイオシミラー市場は, 特に欧米においてはいっそう拡大することが予想される. このような状況下, 日本における5種類のバイオシミラーの市場占有率を, 売上数量をもとにそれぞれ算出した結果, 4.2~90.2%となり, 品目によって大きく異なっていることが明らかとなった. バイオシミラーの市場占有率に影響する可能性のある因子としては, 各製品の特性やその市場環境といった製品側の因子や, 治療法や各種制度政策など臨床における使用環境側の因子など多くあげられる. そのため日本におけるバイオシミラーの使用拡大に向けては, さまざまな視点からの検討が必要となってくる. 最近, 日本政府から出された経済財政運営と改革の基本方針2017では, 革新的バイオ医薬品だけでなくバイオシミラーの研究開発支援の拡充などについても述べられている. 今後, このような取組みがバイオシミラーの使用拡大と, 日本のバイオ医薬品産業全体の発展に結びつくことに期待したい.

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© 2018 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
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