1974 年 13 巻 3 号 p. 142-147
大気圧空気中で不燃性であるポリ四ふっ化エチレンの発火温度を,高圧の酸素,空気,ヘリウムー酸素(酸素20%)混合ガス中で,定温法(6kg/cm2Gまで)と昇温法(120kg/cm2Gまで)とにより測定した. この結果,定温法による最低発火温度と,昇温法による発火温度がほぼ等しいこと,圧力の増加による発火温度の低下はわずかであること,発火温度は酸素分圧で定まることなどが明らかとなった.また,昇温法に用いたミクロ形高圧示差熱分析装置は,120kg/cm2Gまでの高圧酸素または高圧空気中で600℃までの発火温度を数mg~数10mgの試料で再現性よく,かつ簡便に求められることがわかった.