プロセス産業における災害や保安コンプライアンス問題への対応を図るため,経済産業省原子力安全・保安院は平成18 年11 月に「安全文化向上を目指す産業保安行政のあり方について(中間とりまとめ)」を発表した.これを受けて安全工学会では,原子力安全・保安院に協力して,企業の保安力の評価と強化に関する提案,安全文化項目などの整理,企業への自己評価の試行を含むヒアリングなどを実施している.一方,化学安全分野においても国際連携の流れが進むにつれ,事故情報を含む情報共有化の必要性が認識されている. OECD では国連環境計画(UNEP)や欧州委員会EC と連携して,化学物質を取り扱う事業所の安全に関するワーキンググループ(Working Group on Chemical Accidents)を運営している.保安力に関する国際動向の把握を目的に標記ワーキンググループに参加し,同時にEU の重大化学事故情報を収集管理する,EC の研究機関であるMajor Accident Hazards Bureau を訪問した.化学災害に関する各国の動向,事故情報の国際的な共有に関する状況を報告する.