安全工学
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論文
双極性除電器から発生する異常放電の電荷量に関する実験的研究
崔 光石崔 旻長田 裕生鈴木 輝夫
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2022 年 61 巻 2 号 p. 133-140

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抄録

本研究では,3 種類の放電電荷量測定方式(EN 方式,IEC 方式,JNIOSH 方式)を用いて,その放電電荷量の検出特性について調べた.また,3 種類の内のJNIOSH 方式(市販用電圧プローブと100 Ωの無誘導抵抗の使用)を用いて,双極性除電器からの異常放電における放電電荷量とその着火危険性について調べた.結果より,各方式において測定された電荷量はほとんど同じであり,いずれの方式も異常放電の電荷量測定には適合していることがわかった.ただし,最も電荷量測定値のばらつきが小さいのは,JNIOSH 方式であった.また,JNIOSH 方式のプローブを用いて双極性除電器の異常放電から得られた放電電荷量Qm(絶対値)は,EN 規格の着火リスク管理値の30 nC(絶対値)を超えていない.これらのことから,双極性除電器は,プロパンガスと空気の混合雰囲気が存在する現場でも着火することがない非常に安全なものであることが示唆された. しかし,除電器の放電針からコロナイオンの生成が抑制された場合には,最大値(絶対値)は,-32.38 nC となり,安全なレベルではない。従って,除電器のコロナ放電イオンの生成が阻害されることがないように定期的なメンテナンスなどの管理が必要である.

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