2022 年 8 巻 1 号 p. 33-41
[背景]産業現場における腰痛に対して有効な対策を立てるには正確な現状把握と分析が必須である。今回,病院職員において職業性腰痛の実態を明らかにするためにアンケート調査を実施した。[対象と方法]当院の正規職員448人に職業性腰痛に関するアンケートおよび日本語版Oswestry Disability Index(以下 ODI)を使用し調査した。腰痛の有訴率と重症者率の割合を職種毎に算出後,職種との関連性について c2 検定を用いて分析した。[結果]全職種で職業性腰痛を認め,全職員の腰痛有訴率は41.7%,ODI ≧12%の重症者率は36.8%であった。職種毎の発生状況に関しては,有訴率は看護師が49.4%,重症者率は看護補助者が76.9%と他の職種より有意に高かった。[結語]当院職員の職業性腰痛は全職種に認め,特に看護師は有訴率,看護補助者は重症者率が有意に高かった。しかし,職種毎で腰痛の状況は異なり,理学療法士は各職種に応じた対策を講じていく必要がある。