理学療法さが
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8 巻, 1 号
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原著
  • ―サルコペニアの有無に着目した縦断研究―
    田中 勝人, 釜﨑 大志郎, 大田尾 浩, 田中 健太, 巨瀬 拓也, 高橋 雅幸, 大川 裕行
    原稿種別: 原著
    2022 年 8 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/04/29
    ジャーナル フリー

    [目的]急性期脳卒中片麻痺患者のサルコペニアの有無に着目し,リハビリテーションの効果を検証した。[対象]対象は,急性期脳卒中片麻痺患者49名(平均年齢76±10歳)とした。[方法]測定項目は,アルブミン,血清総蛋白,下腿周径,握力,下肢荷重力,体幹機能評価(TCT),脳卒中機能障害評価法の麻痺側運動機能(SIAS-M),ミニメンタルステート検査(MMSE),機能的自立度評価法(FIM)とした。初期評価時のサルコペニアの有無別に,初期評価時と再評価時の各測定項目を比較し,リハビリテーションの効果を検証した。[結果]サルコペニア群および非サルコペニア群の身体機能と認知機能,日常生活活動(ADL)能力は,再評価時に有意に高値を示した。[結語]急性期脳卒中片麻痺患者は,サルコペニアの有無に関わらずリハビリテーションを行うことで,身体機能と認知機能,ADL 能力を改善できることが示された。

  • 山田 諒大, 古後 晴基, 八谷 瑞紀, 久保 温子, 大川 裕行, 坂本 飛鳥, 満丸 望, 藤原 和彦, 岸川 由紀, 溝田 勝彦, 釜 ...
    原稿種別: 原著
    2022 年 8 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/04/29
    ジャーナル フリー

    [目的]高齢者の転倒不安の有無に関係する身体機能を調査した。[対象]地域在住高齢者84名,75.5(71.0〜79.0)歳であった。[方法]測定項目は,転倒不安の有無,転倒経験,握力合計,上体起こし,膝伸展筋力体重比,長座体前屈,座位ステップ,片足立ち合計,30秒椅子立ち上がりテスト,timed up & go test,最大歩行速度とした。転倒不安あり/なしの違いに関与する身体機能を抽出するために強制投入法による多重ロジスティック回帰分析で検定した。[結果]転倒不安の有無を判別する身体機能は座位ステップ(オッズ比0.95)であり,予測式の判別的中率は84.4%であった。なお,座位ステップのカットオフ値は62.5回(AUC :0.70)であった。[結論]地域在住高齢者の敏捷性を改善することで転倒不安を軽減できる可能性が示された。

  • 釜﨑 大志郎, 大田尾 浩, 八谷 瑞紀, 久保山 有志, 北川 龍也, 中村 敏宏, 陣内 健太, 泉 清徳
    原稿種別: 原著
    2022 年 8 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/04/29
    ジャーナル フリー

    [目的]足関節の底屈・背屈筋力の測定値の検者内信頼性と身体機能および認知機能との基準関連妥当性を検討した。[対象]対象は,デイケアを利用する要介護高齢者75名(平均年齢82± 8 歳)であった。[方法]足関節底屈・背屈筋力に加えて身体機能,認知機能の評価を行った。足関節底屈・背屈筋力の検者内信頼性は,級内相関係数により検討した。身体機能および認知機能との基準関連妥当性は,相関分析で中等度以上(ρ≧0.4)の関連がある項目により検討した。[結果]足関節底屈・背屈筋力の級内相関係数は0.78〜0.98であった。足関節底屈・背屈筋力は,握力および膝伸展筋力との間に中等度以上の関連を認めた。[結語]要介護高齢者の足関節底屈・背屈筋力の測定値の検者内信頼性は,十分に高く,握力や膝伸展筋力との基準関連妥当性を有し,筋力の客観的評価に有用であることが明らかとなった。

  • 上田 将史, 木須 史大, 徳光 大輝, 溝口 亮平, 八谷 瑞紀, 久保 温子, 大川 裕行, 坂本 飛鳥, 藤原 和彦, 岸川 由紀, ...
    原稿種別: 原著
    2022 年 8 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/04/29
    ジャーナル フリー

    [目的]高齢者の転倒リスクに関係する身体機能および心理・精神機能の影響の程度を比較検討した。[対象]地域在住高齢者84名(平均年齢75.2±6.9歳)とした。[方法]測定項目は,握力左右合計,上体起こし,膝伸展筋力体重比,長座体前屈,座位ステップ,片足立ち左右合計,30秒椅子立ち上がりテスト,timed up & go test(TUG),最大歩行速度,trail making test part-A, mini mental state examination(MMSE),主観的健康感,fall risk index-5(FRI 短縮版)とした。FRI 短縮版に関与する因子を重回帰分析で検討した。[結果]FRI 短縮版に関係する因子は,影響の程度が強い順にTUG,主観的健康感,MMSE であった。[結論]地域在住高齢者の転倒リスクには,歩行バランス能力や認知機能のみならず,自らが感じる健康状態が関係することが示唆された。

  • 安河内 祐太, 伊藤 真也, 小峠 直之, 八谷 瑞紀
    原稿種別: 原著
    2022 年 8 巻 1 号 p. 33-41
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/04/29
    ジャーナル フリー

    [背景]産業現場における腰痛に対して有効な対策を立てるには正確な現状把握と分析が必須である。今回,病院職員において職業性腰痛の実態を明らかにするためにアンケート調査を実施した。[対象と方法]当院の正規職員448人に職業性腰痛に関するアンケートおよび日本語版Oswestry Disability Index(以下 ODI)を使用し調査した。腰痛の有訴率と重症者率の割合を職種毎に算出後,職種との関連性について c2 検定を用いて分析した。[結果]全職種で職業性腰痛を認め,全職員の腰痛有訴率は41.7%,ODI ≧12%の重症者率は36.8%であった。職種毎の発生状況に関しては,有訴率は看護師が49.4%,重症者率は看護補助者が76.9%と他の職種より有意に高かった。[結語]当院職員の職業性腰痛は全職種に認め,特に看護師は有訴率,看護補助者は重症者率が有意に高かった。しかし,職種毎で腰痛の状況は異なり,理学療法士は各職種に応じた対策を講じていく必要がある。

  • 久保 温子, 大田尾 浩, 八谷 瑞紀, 大川 裕行, 溝田 勝彦, 岸川 由紀, 坂本 飛鳥, 藤原 和彦, 釜﨑 大志郎, 田久保 順也 ...
    原稿種別: 原著
    2022 年 8 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/04/29
    ジャーナル フリー

    [目的]新型コロナウイルス感染症流行の長期化が高齢者にどのような影響を与え,高齢者の健康維持にどのように取り組むべきかの知見を得るため,調査を行った。[対象]65歳以上の地域在住高齢者43名を解析対象とした。[方法]身体組成評価と基本チェックリストを用いた評価を実施した。2020年 9 月と2021年 3 月の各評価値を対応のある t 検定にて比較した。[結果]骨密度と日常生活関連動作はコロナ禍前よりも有意に低下した。[結論]骨密度については,外出自粛による日光照射不足だけでなく,コロナ禍による服薬管理も影響した可能性がある。日常生活関連動作が有意に低下したことについては,質問事項に外出に関するものが含まれていたことによるものと思われる。外出自粛要請に加えて,高齢者が新型コロナウイルス感染症に罹患した場合,重症化するリスクの高さが報道され,日常的な買い物以外にも,不要不急と判断される友人との社交などを控えた結果とみられる。

  • 大田尾 浩, 八谷 瑞紀, 久保 温子, 大川 裕行, 田中 真一, 岸川 由紀, 釜﨑 大志郎, 藤原 和彦, 坂本 飛鳥, 溝田 勝彦, ...
    原稿種別: 原著
    2022 年 8 巻 1 号 p. 49-56
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/04/29
    ジャーナル フリー

    [目的]階段を昇る際に手すりを使用する高齢者の心身機能の特徴を検証した。[対象]在宅で自立した生活を送る地域在住高齢者217名とした。[方法]測定項目は,階段を昇る際の手すりの使用状況,握力合計,上体起こし,30秒椅子立ち上がりテスト(30-second chair stand test : CS-30),長座体前屈,片足立ち合計,最大歩行速度,trail making test part-A,ミニメンタルステート検査(mini mental state examination : MMSE)とした。手すり使用の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析で検討した。[結果]階段を昇る際の手すりの使用には,CS-30と MMSE が関係することが明らかになった。[結論]階段を昇る際に手すりが必要な高齢者は,CS-30と MMSE が低下している可能性がある。

  • 末永 拓也, 宮副 孝茂, 松本 雄次, 財津 和希, 髙塚 梨沙, 久保川 成美, 峰松 宏弥, 山口 滉太, 釜﨑 大志郎, 山田 穂積 ...
    原稿種別: 原著
    2022 年 8 巻 1 号 p. 57-64
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/04/29
    ジャーナル フリー

    [目的]COPD 患者の nagasaki university respiratory ADL questionnaire(NRADL)に関係する因子を検討した。[対象]外来 COPD 患者60名とした。[方法]測定項目は,基本情報に加えて NRADL,呼吸機能,呼吸筋力,quality of life(QOL)評価,身体機能,栄養状態,生活範囲,不安と抑うつとした。重回帰分析で従属変数 NRADL に関係する因子を分析した。独立変数は body mass index(BMI),%努力性肺活量,握力体重比,膝伸展筋力体重比,shuttle walking test(SWT),mini nutritional assessment(MNA)とした。[結果]NRADL には,%努力性肺活量と SWT が関係することが明らかになった。[結論]COPD患者の ADL 能力改善には,%努力性肺活量低下による呼吸困難感を招かないために,呼吸法の指導と獲得が重要であることが追認された。また,運動耐容能の向上が必要である可能性が示された。

  • 田中 勝人, 田中 健太, 巨瀬 拓也, 高橋 雅幸, 釜﨑 大志郎, 大田尾 浩
    原稿種別: 原著
    2022 年 8 巻 1 号 p. 65-71
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/04/29
    ジャーナル フリー

    [目的]発症後 2 週時の日常生活活動(ADL)能力に影響する因子を検討した。[対象]対象は,急性期脳卒中患者49名(平均年齢76±10歳)とした。[方法]初期評価は,アルブミン,血清総蛋白,握力,下肢荷重力,体幹機能評価(TCT),stroke impairment assessment set の麻痺側運動機能(SIAS-M),ミニメンタルステート検査(MMSE)を発症後 1 週間以内に評価した。ADL 能力は,発症後 2 週時に機能的自立度評価法(FIM)で評価した。統計解析は,FIM の運動項目および認知項目を従属変数,各測定項目を独立変数とした重回帰分析を実施した。[結果]FIM の運動項目に影響する因子は TCT,認知項目に影響する因子はMMSE であった。[結語]急性期脳卒中患者の TCT と MMSE は,発症後 2 週時の ADL 能力に影響することが明らかとなった。

短報
  • 牧野 光一朗, 志波 徹, 田中 佳代, 川下 友香, 大島 一晃, 溝田 丈士
    原稿種別: 短報
    2022 年 8 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/04/29
    ジャーナル フリー

    [目的]本研究の目的は,人工膝関節単顆置換(UKA)術後患者の患者立脚型 qualityof life(QOL)評価と痛みおよび身体機能の関連について横断的に調査することであった。[対象]変形性膝関節症と診断された UKA 術後患者30名(平均年齢:75.1±7.8歳,男性:12名,女性:18名)を対象とした。[方法]術後2週時点の変形性膝関節症患者機能評価尺度(japan knee osteoarthritis measure:JKOM),歩行時痛,膝関節可動域,膝伸展筋力,timed up and go test(TUG)を測定した。疼痛は visual analog scale(VAS)で評価し,屈伸可動域は他動・自動の条件下にてゴニオメーターを使用し測定した。膝伸展筋力はハンドヘルドダイナモメーターにて測定した。TUG は最大速度で 2 回測定し,最速値を代表値とした。統計解析は,Spearman 相関分析を用いて JKOM と各評価項目の関連について検討した。有意水準は5%とした。[結果]JKOMと歩行時痛(r=0.70,p<0.01),術側膝伸展筋力(r=−0.41,p=0.02),自動屈曲可動域(r=−0.39,p=0.04)に有意な関連を認めた。[結語]術後早期の QOL には,痛み,膝伸展筋力,自動屈曲可動域が関連することが示唆された。

  • 溝田 勝彦, 大田尾 浩, 八谷 瑞紀, 久保 温子, 大川 裕行, 田中 真一, 岸川 由紀, 釜﨑大志郎 , 藤原 和彦, 坂本 飛鳥
    原稿種別: 短報
    2022 年 8 巻 1 号 p. 79-82
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/04/29
    ジャーナル フリー

    [目的]TUG を実施する際の留意点について検討した。[対象]地域在住高齢者59名と若年者93名とした。[方法]TUG を2 回実施し ,1 回目と 2 回目の結果(所要時間,歩数)に差があるかを検討した。また,所要時間と歩数の相関関係についても検討した。[結果]地域在住高齢者では,1 回目と 2 回目の所要時間に有意な差が認められたが,若年者では認められなかった。歩数はどちらも有意な差は認められなかった。所要時間と歩数の関係では高齢者,若年者ともに,2 回とも相関が認められた。[結論]地域在住高齢者を対象とした TUG では 2回実施した方がより運動機能を反映する可能性が示唆された。

  • 八谷 瑞紀, 熊野 亘, 中村 正造, 堀江 淳, 村田 伸
    原稿種別: 短報
    2022 年 8 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/04/29
    ジャーナル フリー

    [目的]パーキンソン病患者を呼吸機能検査から正常群と拘束性換気障害群の 2 群に分け,身体機能および日常生活活動との関係について明らかにすること。[対象]パーキンソン病患者15人。[方法]%VC が80%以上の正常群,80% 未満の拘束性換気障害群の 2 群に分けた。評価項目は,大腿四頭筋筋力,足指把持力,虚弱高齢者用10秒椅子立ち上がりテスト,重心動揺,Functional reach test(FRT),片足立ちテスト,5 m 歩行テスト,10m 障害物歩行時間,timed up and go test,機能的自立度評価法を用いた。2 群間をMann-Whitney の U 検定により比較した。[結果]拘束性換気障害群は正常群よりも片足立ちテストは有意に保持時間が短く(p=0.04),FRT は有意に到達距離が短かった(p=0.01)。一方,それ以外の項目は2群間に有意な差を認めなかった。[結論]パーキンソン病特有の運動障害により拘束性換気障害を生じる程の筋の柔軟性および胸部可動性の低下は,片足立ちテストや FRT にも影響を与える可能性が示された。

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