抄録
概要
本研究は、同一法人内の福祉施設の施設長を対象にアンケートやインタビュー調査をすることで、福祉施設における経営幹部養成や人材の確保・育成等の現状を明らかにし、福祉施設における経営幹部職員の養成に資することを目的としている。
福祉施設での職員不足は法人内外を問わず深刻であり、採用や人材定着への取り組みは経営幹部職員を養成する上でも重視する必要がある。また、施設長の研修ニーズには、職員満足度や人間関係、業務や組織風土の改善があり、その背景には人材定着へ関心があることが考えられる。施設での幹部職員を養成する研修は6割以上の施設で行われておらず、その背景には定期的に幹部候補がいないなど、施設単独での育成が困難といった側面があり、法人全体でもフォローする必要が示唆された。
福祉施設の管理職は経歴や職種も様々であることから、強みや弱みを理解しつつ、福祉施設の管理職として必要な知識や技術を身に着ける必要がある。また、人材育成に関して施設単独と法人全体とでそれぞれの役割を考えていく必要もある。
今後、研修の企画・運営をする中で、それぞれの役割分担等を模索しながら、施設単独では難しい部分を法人全体でフォローできる体制を構築していきたい。