済生会総合研究所報
Online ISSN : 2759-6966
2024 巻, 4 号
済生会総合研究所報
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 2024 年2024 巻4 号 p. 1
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/12/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
  • 2024 年2024 巻4 号 p. 3-4
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/12/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    目次

    巻頭言 研究所報第4号の発刊に当たって
    済生会保健・医療・福祉総合研究所 所長 炭谷 茂

    研究部門活動成果
    済生会病院の急性期入院患者数の2045年までの将来予測
    山口 直人・見浦 継一・藤本 賢治・松原 了

    看取りにおける家族間葛藤の課題解決に向けた職員の取り組み
    ―介護老人福祉施設へのインタビュー調査から
    原田 奈津子

    済生会高齢者福祉施設・児童福祉施設における服薬等に関する調査
    ~薬剤部への調査~
    植松 和子・曽我部 直美・菅野 浩・大槇 昌文・柴崎 智行・森本 尚俊・
    田嶌 襄・原田 奈津子・山口 直人・松原 了

    済生会高齢者福祉施設・児童福祉施設における服薬等に関する調査
    ~福祉施設への調査~
    曽我部 直美・植松 和子・菅野 浩・大槇 昌文・柴崎 智行・森本 尚俊・
    田嶌 襄・原田 奈津子・山口 直人・松原 了

    プロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)について
    ―済生会病院薬剤師会と済生会総研によるアンケート事例調査―
    石合 徹也・植松 和子・曽我部 直美・菅野 浩・高橋 一栄・槙林 智子

    介護・福祉施設における利用者および家族の満足度に影響を与える因子の検討
    見浦 継一・山口 直人・松原 了

    福祉施設における経営幹部職員の養成に関する研究
    鈴木 孝尚・原田 奈津子・松原 了

    なぜ、済生会は臨床研修、臨床実習に向き合う必要があるのか
    船﨑 俊一・山口 直人・竹田 玄一

    医療機関の現状と将来推計―済生会富山病院―
    藤本 賢治・山口 直人・松田 晋哉

    人材開発部門活動記録 
    令和4年度 看護部長・副学校長研修
    令和4年度 訪問看護ステーション管理者研修
    第47回 臨床研修指導医のためのワークショップ
    令和4年度 済生会全国次世代指導者研修
    令和4年度 済生会地域包括ケア連携士養成研修会
    第48回 臨床研修指導医のためのワークショップ
    令和4年度 初期研修医のための合同セミナー
    令和4年度 臨床研修管理担当者研修会
    令和4年度 MSW・生活困窮者支援事業研修会
    令和5年度 看護部長・副学校長研修
    令和5年度 訪問看護ステーション管理者研修
    令和5年度 訪問看護ステーション管理者 初級研修・アドバンス研修
    令和5年度 看護部長臨床心理研修
    令和5年度 認知症ケア研修
    令和5年度 エンドオブライフケア研修
    令和5年度 副看護部長研修
    第49回 臨床研修指導医のためのワークショップ
    令和5年度 看護師長研修
    令和5年度 済生会地域包括ケア連携士養成研修会
    令和5年度 新任看護師長研修
    令和5年度 訪問看護ステーション臨床心理研修
    令和5年度 アドバンス・マネジメント研修Ⅳ
    第50回 臨床研修指導医のためのワークショップ
    令和5年度 薬剤部(科・局)長研修会
  • 研究所報第4号の発刊に当たって
    炭谷 茂
    2024 年2024 巻4 号 p. 5
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/12/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
  • 山口 直人, 見浦 継一, 藤本 賢治, 松原 了
    2024 年2024 巻4 号 p. 7-18
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/12/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    要旨
    【目的】 
     各病院の患者が居住する地域の将来推計人口を基に、医療需要に影響する患者の性、年齢を考慮したうえで、2045年までの済生会各DPC提出病院における急性期入院患者数を予測することを目的とした。
    【方法】 
     DPC提出病院64施設のDPCデータから、2018/2019年を基準年として、居住する市区町村別の入院患者実数を求め、総入院患者数の80%をカバーする市区町村を、その病院の「キャッチメントエリア」として特定した。各病院のキャッチメントエリアにおける2018/2019年および2045年の性別・5歳年齢階級別人口を日本の地域別将来推計人口(平成30年推計)から求め、各病院の性別・5歳年齢階級別入院受療率が2018/2019年と2045年で変わらないと仮定して、2045年における性・5歳年齢階級別の入院患者実数を推計した。
    【結果】
     全国と済生会病院キャッチメントエリアの将来推計人口とを比較した結果、2015年と2045年では、年少期(0~14歳)は全国71.4%の減少に対して、済生会病院キャッチメントエリアでは80.8%、生産年齢期(15~64歳)でも全国72.3%に対して、済生会病院キャッチメントエリアでは81.2%と減少幅は小さかった。前期高齢期(65~74歳)では、全国93.6%に対して、済生会病院キャッチメントエリアでは103.8%と若干の増加を示し、後期高齢期(75歳~)では、全国139.5%に対して、済生会病院キャッチメントエリアでは147.5%と全国よりも高い増加率が予測された。次に、分析対象とした済生会病院64施設全体における2045年の年間患者数の予測値と2018/2019年の患者数と比較した結果、総患者数は103%とほぼ横ばいであるが、年齢別にみると年少期(0~14歳)では50%、生産年齢期(15~64歳)では80%まで患者数は減少すると予測されたのに対し、前期高齢期(65~74歳)では98%とほぼ横ばい、後期高齢期(75歳~)の患者数は133%と大幅な増加が予測された。さらに、病院別に2018/2019年と2045年の急性期入院患者を比較すると、総患者数で最も減少率が高かったのは病院で59.8%まで減少、逆に、最も増加率が高かったのは病院で147.2%まで増加すると予測され、増減には大きな幅があることが明らかとなった。
    【結論】
     済生会のDPC提出病院64施設における2045年の急性期入院患者数を推計した結果、年少期(0~14歳)、生産年齢期(15~64歳)の患者数は減少し、前期高齢期(65~74歳)の患者数は横ばい、後期高齢期(75歳~)の患者数は増加することが予測された。高齢者、特に後期高齢者をターゲットにした医療に対する需要が継続的に増加してゆくことが予測される。ただし、各病院ごとの将来推計では急性期入院患者総数が59.8%まで減少する病院から147.2%まで増加する病院まで、非常に幅が大きいことも明らかとなった。
  • 原田 奈津子
    2024 年2024 巻4 号 p. 19-26
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/12/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    概要
     看取りは、本人が何を望むか、本人の最善の利益が何であるかについて、家族等と医療・ケアチームが十分に話し合い、合意を形成することが必要である。
     インタビュー調査を通して、多くの施設で、施設の入所前から看取りを含め入居者の意向を代弁できるキーパーソンを家族の中で決定し、普段からやりとりを積み重ねているということが明らかになった。
     家族間の葛藤においては、こういった状況が伝わらず、やりとりを行っていない親族が、期せずして、本人やキーパーソン積み上げてきた意向に反する状況に陥りがちである。そのため、職員から、家族や親族間で十分に話し合いをすることを提案し、看取りに関する情報を提供するなど判断の材料を提供しているという工夫を行っていた。場合によっては、施設の職員も同席することもあるということであった。施設側として、生活相談員、看護職などそれぞれの専門性に応じた対応を実施していることもわかった。
     今後、看取りについて、施設内・外の連携も含めた取り組みなどについて明らかにすることを通して、職員の研修なども含め検討し、現場での取り組みに寄与したいと考える。
  • ~薬剤部への調査~
    植松 和子, 曽我部 直美, 菅野 浩, 大槇 昌文, 柴崎 智行, 森本 尚俊, 田嶌 襄, 原田 奈津子, 山口 直人, 松原 了
    2024 年2024 巻4 号 p. 27-36
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/12/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    【概要】
     済生会の高齢者福祉施設、児童福祉施設における服薬等に関する課題について、済生会病院の薬剤師がどのように関与しているか、薬剤部を対象とした調査と、福祉施設を対象とした以下2つの調査を実施した。これらの調査から、福祉施設での薬の使用に関連する課題を抽出し、入所者の薬に関する安全性、適切な薬学的管理について薬剤師としてどのような支援が可能であるかを明らかにする。
    1. 済生会高齢者福祉施設および児童福祉施設における服薬等に関する調査(薬剤部対象)
    【目的】
     福祉施設における服薬等に関連する課題を調査し、入所者の薬に関する安全性、適切な薬学的管理について、薬剤師としてどのような支援ができるかを明らかにする。
    【方法】
     各病院の薬剤部長あてに福祉施設との連携についてアンケート実施
    【対象】
     済生会82施設(病院81、福祉施設1)
    2. 済生会高齢者福祉施設および児童福祉施設における服薬等に関する調査(福祉施設対象)
    【目的】
     福祉施設における服薬等に関連する課題を調査し、入所者の薬に関する安全性、適切な薬学的管理について、薬剤師としてどのような支援ができるかを明らかにする。
    【方法】
     各施設の施設長あてに服薬等に関わる課題についてアンケート実施
    【対象】
     介護老人保健施設、老人福祉施設、児童福祉施設、障害者福祉施設、重症心身障害児施設など
     本稿では 1.済生会高齢者福祉施設および児童福祉施設における服薬等に関わる調査(薬剤部対象)について述べる。
  • ~福祉施設への調査~
    曽我部 直美, 植松 和子, 菅野 浩, 大槇 昌文, 柴崎 智行, 森本 尚俊, 田嶌 襄, 原田 奈津子, 山口 直人, 松原 了
    2024 年2024 巻4 号 p. 37-49
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/12/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    【概要】
     済生会の高齢者施設、児童福祉施設における服薬等に関する課題について、済生会病院の薬剤師がどのように関与しているのかについて、薬剤部を対象とした調査と福祉施設を対象とした以下2つの調査を実施した。これらの調査から福祉施設での薬の使用に関連する課題を抽出し、入所者の薬に関する安全性、適切な薬学的管理について薬剤師としてどのような支援が可能であるかを明らかにする。
    1. 済生会高齢者福祉施設および児童福祉施設における服薬等に関する調査(薬剤部対象)
    【目的】
     福祉施設における服薬等に関連する課題を調査し、入所者の薬に関する安全性、適切な薬学的管理について、薬剤師としてどのような支援ができるかを明らかにする。
    【方法】
     各病院の薬剤部長あてに福祉施設との連携についてアンケート実施
    【対象】済生会82施設(病院81、福祉施設1)
    2. 済生会高齢者福祉施設および児童福祉施設における服薬等に関する調査(福祉施設対象)
    【目的】
     福祉施設における服薬等に関連する課題を調査し、入所者の薬に関する安全性、適切な薬学的管理について、薬剤師としてどのような支援ができるかを明らかにする。
    【方法】
     各施設の施設長あてに服薬等に関わる課題についてアンケート実施
    【対象】
     介護老人保健施設、老人福祉施設、児童福祉施設、障害者福祉施設、重症心身障害児施設など済生会福祉施設117施設

     本稿では2. 済生会高齢者福祉施設および児童福祉施設における服薬等に関する調査(福祉施設対象)について述べる。
  • ―済生会病院薬剤師会と済生会総研によるアンケート事例調査―
    石合 徹也, 植松 和子, 曽我部 直美, 菅野 浩, 高橋 一栄, 槙林 智子
    2024 年2024 巻4 号 p. 50-56
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/12/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    【概要】
     令和3年9月30日に厚労省医政局から「現行制度下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について」が発出された1)。これにより、各職種におけるタスク・シフト/シェアが可能な業務の具体例が提示され、薬剤師においても、職能団体である日本病院薬剤師会から推進の方針が示された2)
     中でも薬剤師以外の者へのタスク・シフトの実践が医師の薬物療法に関するタスク・シフトに繋がること、医師とのタスク・シフトではプロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM :Protocol Based Pharmacotherapy Management)の実践が有効であることなどが示され、薬剤師が関わることによる医師の働き方改革への具体策が示されている。この取り組みにより効率的に薬物療法の質の向上や患者の安全性を守ることにもつながる。そこで済生会グループ病院でのPBPM実施状況を調査し、共有することで、導入を広く進めたいと考えている。
  • 見浦 継一, 山口 直人, 松原 了
    2024 年2024 巻4 号 p. 57-64
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/12/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    要旨
     済生会は、平成23年度から毎年「医療・福祉の質の確保・向上等に関する指標」として福祉サービスの質を評価する20指標を作成・公表している。開始から10年が経過し、指標作成のために収集したデータが蓄積された。
     これら大量のデータの中からいくつかの項目について介護・福祉施設の利用者およびその家族の満足度との相関を検証したところ、「低所得者負担軽減制度利用入所者の割合」と弱い正の相関関係を、「労働生産性(付加価値額/年間平均職員数)」と弱い負の相関関係を確認した。この結果から、低所得者負担軽減制度を利用する入所者の積極的な受け入れや、労働生産性を過剰に追求しないことが利用者満足度の向上に寄与する可能性が示唆される。
     今後、さらに積み重ねられるデータで継続して追加検証を行うとともに、利用者満足度の向上につながる改善活動を評価する指標の開発を進めたい。
  • 鈴木 孝尚, 原田 奈津子, 松原 了
    2024 年2024 巻4 号 p. 65-78
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/12/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    概要
     本研究は、同一法人内の福祉施設の施設長を対象にアンケートやインタビュー調査をすることで、福祉施設における経営幹部養成や人材の確保・育成等の現状を明らかにし、福祉施設における経営幹部職員の養成に資することを目的としている。
     福祉施設での職員不足は法人内外を問わず深刻であり、採用や人材定着への取り組みは経営幹部職員を養成する上でも重視する必要がある。また、施設長の研修ニーズには、職員満足度や人間関係、業務や組織風土の改善があり、その背景には人材定着へ関心があることが考えられる。施設での幹部職員を養成する研修は6割以上の施設で行われておらず、その背景には定期的に幹部候補がいないなど、施設単独での育成が困難といった側面があり、法人全体でもフォローする必要が示唆された。
     福祉施設の管理職は経歴や職種も様々であることから、強みや弱みを理解しつつ、福祉施設の管理職として必要な知識や技術を身に着ける必要がある。また、人材育成に関して施設単独と法人全体とでそれぞれの役割を考えていく必要もある。
     今後、研修の企画・運営をする中で、それぞれの役割分担等を模索しながら、施設単独では難しい部分を法人全体でフォローできる体制を構築していきたい。
  • 船﨑 俊一, 山口 直人, 竹田 玄一
    2024 年2024 巻4 号 p. 79-93
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/12/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    【要旨】
     全国済生会研修医合同セミナーは平成20(2008)年から始まった全国の済生会病院の研修医を対象とした研修会である。令和5年度から臨床実習前の客観的診療能力試験OSCEが公的化されたことを受け、臨床研修中の1年目の研修医の本音・思いから臨床研修と臨床実習において研修医、臨床実習生(“Student Doctor”)が真に求める研修、実習、そして医師像を抽出すべくグループワークのテーマを設定し、実施した。
    ■対象と合同セミナー実施方法
     対象は令和5年2月に開催された研修医合同セミナーに参加した全国各地の済生会病院にて研修中の1年目研修医のうち当日参加できた研修医263人。将来の志望診療科ごとに33グループに分け、GW 1「理想の医師像」とGW 2「臨床実習を受け入れている病院でよりよい研修を行うためには」の2つのテーマで済生会での臨床実習や臨床研修をより良いものにするためのグループ討議を行なった。各グループには各病院から参加している臨床研修管理責任者(計35人)をファシリテーターとして最低1名配置した。グループワークの成果物(プロダクト)は模造紙に様々な形で貼り付けられた付箋上の記述と模造紙に記載された文字、文章であり、セミナー終了後、研修医から抽出されたプロダクトを分析のための素データとして撮影保存し分析と検討を行なった。
    ■結果
     GW1「理想の医師像」の内容は、「仕事」、「人間」、「生活」の3つのカテゴリーに分類し描くことができた。このうち、「仕事」に関わる内容が最多であった(73.1%)。「仕事」では医師としての「能力」(28.1%)、「患者」との関係(20.1%)が多く、「指導」と「研鑽」が次いでいた。「人間」では、「態度」と「人柄」で87.0%を占めた。「生活」では「ワークライフ」と「私生活」で78.3%を占めた。「仕事」、「人間」、「生活」の3つのカテゴリーごとに共通する特徴的キーワードを検討したところ、「仕事」では「仕事と能力」ついで「仕事と患者」、「人間と態度」であった。「仕事と能力」では総合力(14.8%)、判断力(13.6%)、技術(12.3%)などが上位であった。「仕事と患者」では“コミュニケーション”(30.0%)と“(患者に)寄り添う”(23.3%)の2つで半数を占めていた。「人間と態度」では共通する特徴的キーワードは見出せなかった。「人間と人柄」では“優しい”が最も多かった(27.3%)。「生活とワークライフ」では “オンオフ”が最も多い(38.5%)結果であった。
     GW2の「臨床実習を受け入れている病院でよりよい研修を行うためには」では、プロダクトの内容は、1)望まれること、2)心理的負担の軽減、3)研修環境(設備)改善、4)労働環境改善に分類することができた。1)の「望まれること」については知識取得、実地経験、研修制度改善(外的要因)、自院運用改善(内的要因)に分類できたが、特に自院での研修内容・運用方法に望むことが多い結果(48.8%)であった。2)の「心理的負担の軽減」は人間関係に関する内容で、45個(10.4%)であった。3)「研修環境改善」は4.8%で設備等への要望であった。4)労働環境改善については12.7%で、給与など経済支援に関わるものが23個(5.3%)、時間についてが12個(2.8%)、その他が20個(4.6%)という結果であった。
    ■考察
     研修医が考える理想の医師とは「仕事」では診療遂行能力に優れ、後輩指導や自己研鑽を怠らない医師」と読み取ることができた。「人間」では「人に対する態度と人柄がよい医師」、「生活」では「仕事と生活・家庭のバランスがとれた生活をする医師」が上位を占めていた。「臨床実習を受け入れている病院でよりよい研修を行うために」からは、研修医が制度等の柔軟な運用の元により多くの臨床経験を積みたいと願っている結果を得た。研修医の成長意欲を表す結果と考えられたが、臨床研修開始から19年が経ち研修環境は既に充足している病院が多数となり、研修内容への希望が多数を占めるに至っていることが影響しているのかもしれない。忘れてならないこととして“心理的負担の軽減”(10.4%)があり、研修医が人間関係への配慮を求めていることを示すものと考えられた。
    ■結語
     研修医が考える理想の医師とは「腕が良く、人柄が良い、公私のバランスがとれた医師」とまとめることができた。三隅二不二氏のPM理論で表現すれば、PM型、即ち、能力に優れ(大きなP)面倒見の良い(大きなM)医師と結論することができた。今も昔も医師が理想とする姿は変わらない結果であった。
  • 藤本 賢治, 山口 直人, 松田 晋哉
    2024 年2024 巻4 号 p. 94-116
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/12/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    要旨
    【目的】 
     我が国の急激な高齢化による人口構造の変容に対応するため、現状の地域におけるシェアを元に、将来必要となる医療資源を推計した。
    【方法】 
     医療機能の供給情報は、医療機関が作成している医療レセプトデータを使用した。調査期間は、2014年度から2022年度の9年間とした。医療機関の現状のシェアを、市町村別の人口に対する受診人数とした。受診者の圏域は、地域保険は保険者が属する市町村とし、国保組合および職域保険は富山市とした。外来1日あたりの受診人数は各年度別の平日の日数、入院1病床数あたりの患者数は年間の日数を使用した。将来推計は、患者数は2022年度、人口は2021年度を基準とし、現状の地域ごとのシェアを将来も維持したものとした。患者数は性年齢階級別の疾病別に有病率を計算し、将来推計人口で推計した。
    【結果】 
     新型コロナの影響で、外来および入院患者数は減少し、その後コロナ前の状態には戻っていない。入院では、手術無の患者は1日当たりの病床数が減少し、手術有の患者は増加傾向であった。1日当たりの単価は、上昇傾向であった。外来の将来推計では、患者数は2025年度まで増加するが、それ以降は減少傾向であった。1日当たりの医療費は変動が無かった。入院の将来推計では、患者数は2040年度まで増加傾向であった。1日当たりの医療費は、手術無と比較して手術有は約2倍であった。金額は減少傾向であった。入院患者数増加により病床は2025年は18床、2040年は49床不足となった。
    【結論】
     高齢化が進む各圏域において、医療機関の医療体制、機能およびその将来推計により、医療機能を検討する必要性について明らかになった。外来の患者数は、現状から大きな変化はないが、入院は増加傾向であった。病床数が増加できる可能性は低いため、在院日数を短縮させ受け入れる患者数を増加させるか、現状、患者数が少ない疾病の受け入れを止めるなど疾病を限定させ対応するかになる。どちらにしても地域の医療機関と連携や調整が重要となる。また入院できない患者が増加すると、在宅医療のニーズは増加する。在宅医療に対する地域における自院の役割について検討すべきである。経営面では、1日当たりの単価は減少するため、より効率的な運営が必要となる。
  • 済生会総合研究所 人材開発部門
    2024 年2024 巻4 号 p. 117-140
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    令和4年度 看護部長・副学校長研修 117
    令和4年度 訪問看護ステーション管理者研修 118
    第47回 臨床研修指導医のためのワークショップ  119
    令和4年度 済生会全国次世代指導者研修 120
    令和4年度 済生会地域包括ケア連携士養成研修会 121
    第48回 臨床研修指導医のためのワークショップ  122
    令和4年度 初期研修医のための合同セミナー 123
    令和4年度 臨床研修管理担当者研修会 124
    令和4年度 MSW・生活困窮者支援事業研修会 125
    令和5年度 看護部長・副学校長研修 126
    令和5年度 訪問看護ステーション管理者研修 127
    令和5年度 訪問看護ステーション管理者 初級研修・アドバンス研修 128
    令和5年度 看護部長臨床心理研修 129
    令和5年度 認知症ケア研修 130
    令和5年度 エンドオブライフケア研修 131
    令和5年度 副看護部長研修 132
    第49回 臨床研修指導医のためのワークショップ 133
    令和5年度 看護師長研修 134
    令和5年度 済生会地域包括ケア連携士養成研修会 135
    令和5年度 新任看護師長研修 136
    令和5年度 訪問看護ステーション臨床心理研修 137
    令和5年度 アドバンス・マネジメント研修Ⅳ 138
    第50回 臨床研修指導医のためのワークショップ 139
    令和5年度 薬剤部(科・局)長研修会 140
  • 社会福祉法人恩賜財団済生会
    2024 年2024 巻4 号 p. 144
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/04
    研究報告書・技術報告書 フリー
    済生会保健・医療・福祉総合研究所
    所報 第4号
    令和6年3月31日 第1版 第1刷発行
    発行
    社会福祉法人 恩賜財団 済生会
    理事長 炭谷 茂
    編集
    済生会保健・医療・福祉総合研究所
    〒108-0073
    東京都港区三田1-4-28 三田国際ビル26階
    電話:03-3454-3315 FAX:03-3454-5022
    URL http://soken.saiseikai.or.jp/
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