2022 年 56 巻 4 号 p. 355-362
これまでいくつかの研究に基づき,頚部からデコルテ部位に至る首もとのケアを意識した化粧品が発売されている。その多くは加齢や紫外線の影響による頚部のシワに着目したもので,さまざまな研究知見が得られている。しかしながら,頚部に限定した評価では,シワ形成に直接結びつく決定的な原因は明らかにされていない。加えて,頚部のシワとその近傍部位における皮膚生理機能の変化との関係性に関する知見もまた少ないのが現状である。そこでわれわれは,25~54歳の健常女性32名を対象に,頚部のシワの程度とその近傍部位における皮膚生理パラメーターとの関係性について精査した。その結果,鎖骨下の角層水分量は年齢との相関関係が認められなかった。さらに,頚部のシワが目立たないグループにおける鎖骨下の角層水分量はシワが目立つグループに比べ有意に高く,比較的一定に保持されていることが判明した。以上のことから,頚部のシワは,鎖骨下の水分保持能と密接に関係し,その関係性において年齢は主たる要因ではないことが推察された。頚部のシワのケアを考えるうえで,鎖骨下の皮膚生理パラメーターの変化を理解することは重要であると考えられた。