2023 年 57 巻 3 号 p. 265-269
角栓は,毛穴の目立ちやザラつきだけでなく毛穴周りの黒ずみや肌のくすみにつながり,女性の肌悩みの上位に位置する。角栓除去を目的としたクレンジングオイルの連用試験で,ポリグリセリン脂肪酸エステル(PGFE)を配合したクレンジングオイルは,角栓を小さくし,毛穴周りの角層タンパク質のカルボニル化(CP化)レベルを低減させる効果が認められた。角栓は皮脂とケラチンが主成分のタンパク質から構成される物質であるため,本研究ではその構成成分の皮脂に注目し,クレンジングオイル中の界面活性剤の違いによる皮脂への作用を検討した。その結果,ポリエチレングリコール型界面活性剤(PEG)と比較し,PGFEは皮脂との相溶性が良好であり,さらに皮脂の融点を下げる効果が高いことが確認された。これらの結果より,PGFE配合クレンジングオイルによる角栓除去効果の作用機序として,皮脂との易相溶性と融点降下が関連すると考察した。