抄録
自動車業界におけるメーカと加工組立型サプライヤ間のサプライチェーンにおいて,マスカスタマイゼーションの確立が急務である.本論文は,受注の激しい変動を想定したマスカスタマイゼーション環境において,単にサプライヤだけではなく,メーカも含めた両者の新しい協業により,サプライチェーントータル最適化の視点から解決の方法論を提案するものである.まず,メーカとサプライヤの在庫コストを基準にして,コスト増減の評価を行う.すなわち,メーカからサプライヤへの発注量のバラツキσをパラメータとし,既報の手法を用いてサプライヤのコスト増減を数値計算により求める.また,メーカについては,先行生産量算出モデルを開発し,これに基づき在庫コスト増減の評価を行った.つぎに,両者のトータルコストを適正化する発注量のバラツキ_ を算出する.メーカの完成車単位あたりの在庫コストや内示レベルの変化の影響も考察する.