抄録
H∞ノルムの数値最適化問題は,双線形行列不等式の可解問題に帰着され,その数値最適化法が広く研究されてきた.筆者は勾配法による数値最適化法を提案している.この方法は双線形行列不等式を線形行列不等式で近似し,その解を求めることで,勾配を計算し,直線探索で局所解を求める方法である.数値実験では,急速にノルムが減少後に突然に減少するなどの挙動が見られていた.本稿では,この現象を数値実験で詳細に調べ,滑らかでない評価関数に対する問題を検討した.直線探索を改良することで,より早い収束が期待できることが分かった.