抄録
系列の解体や情報ネットワークの普及にともない,近年,物品調達の取引先を契約ごとに組み替える動的サプライチェーンの研究が注目されている.著者らは,これまでに,サプライヤとクラアントで構成される2階層の動的サプライチェーンモデルを提案し,サプライヤが,既存の生産スケジュールを変更しながら,クライアントと交渉を繰り返すことで,受注製品の納期と価格を決定する手法を提案した.また,前田らは,クライアントからの複数のオーダに対して,複数のスケジューリングを同時に行うことで,自身にとって適切なオーダを選択し,交渉を行う手法を提案した.本研究では,分散計算機環境において,並列にスケジューリングを行い,現行の生産スケジュールに最も適切なオーダを選択する並列分散スケジューリングシステムを開発する.さらに,2階層の動的サプライチェーンモデルのシミュレーションシステムを用いて,その有効性を検討する.