抄録
本研究は, 視覚から得られる情報を視覚以外の情報に変換してシステムの使用者に伝える多聞システムの完成を目的としている. 現在, システムの入力部には計測対象までの周囲の空間に対する距離の情報を画像として出力できる距離画像センサを用いているが, 計測から得られるデータは計測対象の形状に関わらず曲面になる. この原因として, 空間の認識における誤差と距離の計測における誤差の2つが考えられる. まず, センサ内のレンズにおいて発生する歪曲収差によって距離画像が樽型に歪み, 正確な空間の認識が難しくなっている. また, 距離計測においても, 計測の際に二次関数的な形状の誤差が距離画像に加わることで, 正確な距離情報を得ることが難しくなっている. 本研究では, 画像処理を用いたレンズによる歪曲収差の補正手法と, 計測時に生じる誤差の特性からその補正手法について考察することで, 距離画像センサを多聞システムの入力機器としてより有効に活用する手法を提案する.