抄録
我々は管腔臓器に対する腫瘍診断や治療ガイドの高精度化のため,一般の可視光内視鏡のみでは可視化出来ない組織の内部構造の描出とその内視鏡映像への重畳を可能とする,内視鏡と近接MRIを組み合わせたMR-内視鏡システムの開発を行っている.本システムにおける画像重畳では,内視鏡画像とMR像の座標整合を図る必要がある.このため本研究では内視鏡アタッチメントに,造影剤カプセルとそこからの信号を増強検出するワイヤレスマーカーコイルのペア3セットをコイルが造影剤カプセルを囲むように固定し,さらにそこからの信号を取得する受信コイルを取り付け,内視鏡先端の位置・姿勢を検出することを試みた.このアタッチメントをブタ胃腔内に挿入して,直交3断面のMR撮像を行ない,x,y及びz軸へのプロジェクションデータを得,各マーカーの最大輝度点の座標を特定した.検証実験の結果,得られた3つの座標間の距離と,マーカー間の実測距離との誤差は0.58mm,3次元空間における座標の誤差は0.52mm,3つのコイルがなす三角形の法線ベクトルと実方向との誤差は5.2度であった.これらの結果によりこのマーカーを用いることにより,内視鏡先端の位置・姿勢検出の基本機能確保できたと考えられた.