抄録
動作は個人に依らず共通に現れる類似な成分と個人間の差異成分からなる多重粒度の構造をもち,差異成分が動作における個性を表す要素となっていると考えられる.本稿では同一動作における個人間の類似と差異を抽出する手法として,特異値分解を用いる方法を提案する.加速度センサ・ジャイロ・磁気センサにより取得した歩行や走行など周期的な運動における身体各部位の姿勢角データに対して特異値分解を行うことにより,個人間の類似と差異を抽出できることを示す.また,抽出された差異に着目し,それらの間の関係性についても考察した結果を示す.