2022 年 50 巻 4 号 p. 301-306
軽症の鈍的頭部外傷後に中大脳動脈解離を発症した1例を報告する.症例は63歳,女性.交通事故による軽症頭部外傷の5時間後に突然の右片麻痺と構音障害で発症.MRI,MR angiographyで左中大脳動脈領域の超急性期脳梗塞と中大脳動脈閉塞を疑われた.脳血管撮影検査では中大脳動脈に高度の狭窄とintimal flapの所見を認め,解離と診断した.直ちに血管内治療を行い,ステントを留置し病変の開存を得た.軽症の鈍的頭部外傷でも中大脳動脈解離をきたし得ることを想定すべきである.